コンウェイの法則と逆コンウェイの法則とは?
「コンウェイの法則」とはコンピューター科学者メルヴィン・コンウェイが提唱した法則で、組織体制とアーキテクチャには相関関係があるというもの。チームの開発成果は組織構造に起因するコミュニケーションによって決まるとされています。
この法則は『チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計』という書籍でも紹介されており、ケーパビリティを高いアーキテクチャにするにはどう組織構造を設計したらいいかを考える際に、非常に重要な考え方にもつながっていきます。
そしてこれを逆手にとったのが「逆コンウェイの法則」です。これはどのような組織が理想か、つまり「最適なアーキテクチャを実現させるための組織」を設計するというもの。プロダクトの目指す方向から逆算し、職能チームやフィーチャーチームの組成などを検討していく考え方です。
立ち上げ時期と成長期における組織・技術戦略
では実際、このコンウェイ/逆コンウェイは開発組織運営においてどのように考えていけばよいのでしょうか。Offersを運営する株式会社overflowのCTO大谷氏に話を伺いました。
大谷氏曰く、現在はコンウェイと逆コンウェイの転換期で、以前まではまさにコンウェイの法則が当てはまっていたと語ります。
大谷氏「overflowは2019年に副業マッチングプラットフォームのOffers(オファーズ)をリリースし、主力プロダクトとして運営しています。2021年には利用企業数が300社を突破し、累積ユーザー数は10,000人を突破しました。
開発組織は私ともう1名の業務委託の2名でスタートし、現在に至るまで1チームでモノリシックなリポジトリを保有してきました。Offers立ち上げ当初からバックエンドやインフラ、さらにセールスやCS(カスタマーサクセス)まわりのデータ自動化なども担ってきており、いわゆる「なんでも屋」でした。
現在は開発メンバーも増え、チーム間の無駄なインタラクションや、エンジニアの脳内のスイッチングコストを下げていくことが組織のテーマでもあります。つまり、Offersに集中するチームを設計し、コーポレートに関するシステムなどは別チームに切り出すなどの検討が必要なフェーズに移ってきています。まさにシステムアーキテクチャのために組織を考える段階(=逆コンウェイ)になってきた感じですね!」
overflow社が感じた逆コンウェイの兆し
上記の大谷氏の言葉にもあるように、いかに職能型・フューチャー型のチームにするかが今後の組織のテーマだそうだが、逆コンウェイを検討するきかっけについて、もう少しブレイクダウンして話を伺った。
大谷氏「資金計画も順調に進み、採用においてもバックエンドやフロント、インフラなど専任メンバーで設計できるような体制になってきたことが大きいですね!今後のメンテナンスやリリースサイクルのスピード感を考えると、もはや今までのモノリシックな組織だと壁になるように感じてきたことが大きいですね。」
この言葉にもあるように、開発やインフラなど「一人が何でもやる」状況から、チームメンバーも増えてメンバー間のインタラクションが増えてきたこと(=生産性の低下)、専任メンバーを採用できる状況になったこと等がアーキテクチャのための組織を作る背景になったとのこと。この設計をいかに描いていくかが、その後のプロダクトグロースにおいて大きなカギになることは間違いないだろう。
まずはプロジェクト間のコミュニケーション可視化から
ではこの逆コンウェイをCTOや設計に関わるメンバーはどのように察知すればよいのでしょうか。開発全体を指揮するCTOの感覚的なもの以外、つまり数値化された指標があれば組織設計のあり方をよりベストな方向へと検討できるきっかけにもなるでしょう。
そこで注目したいのが、上記の大谷氏の言葉にもあるように開発チームの「生産性の低下」をいかにキャッチできるかがターニングポイントになることでしょう。チームの生産性の低下を で察し、それによってシステムを効率的に回していけるチーム構成を考えるサイクルを構築できれば、組織成長に合わせたコンウェイ・逆コンウェイ戦略を描けることになるでしょう。
まず大事なのは、コンウェイ・逆コンウェイという言葉を意識しすぎず、チーム間のインタラクションを見える化してみること。OfferdManagerであればチーム別・チーム間のSlackコミュニケーション量が可視化することができるため、フラットに開発組織のヘルスチェックが実現可能にもなります。
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