エンジニアのキャリアゴールは「リーダー・マネージャー」だけなのか?
プレイヤーと経験を積み、20代後半に差し掛かってくるあたりから「チームを引っ張ってほしい」「リーダーを目指してほしい」と上司から言われたことがある方も多いのではないでしょうか。
こういったコメントの背景には、将来の期待値も当然あるかと思いますが、「これ以上はリーダー・マネージャーにならないと評価できない、評価する指標がない」という言葉の裏返しがあるかもしれません。
リーダー・マネージャーを「職位」として扱ってしまう場合、組織である以上は全員がリーダー・マネージャーになれるわけではなく、「キャリア=椅子取りゲーム」という構図になります。これだと新参者は前任者を実力で追い出すか、組織拡大に伴ってポジションが増えるのを待つしかありません。
リーダーにならないと評価されない
一般的に減給や降格というケースが珍しい日本の会社において、職位(いわゆる社内等級、グレード)として扱うことは、当事者にとっても極めてキャリアの不可逆性が高いアプローチです。よってリーダーやマネージャーという職務と責任は、不可逆で一本道な「職位」ではなく、人に対して付け替えてローテ可能な「役割」として扱う方がよいのではないでしょうか。
マネージャーがただの便利屋になっている
これはエンジニア組織だけに限った話ではありませんが、一人二役どころか、三役も四役も馬車馬の如く働くことが好きなマルチタスク大好き人間が蔓延ってしまい、体系的な職務教育が醸成されないまま人手不足を嘆いている職場もきっと多いことでしょう。
マルチタスクの是非はさておき、マルチタスクやりたい人は限られてしまうもの。当然、向き不向きもありますし、等しくチャレンジする機会も失われてしまいます。仕事として誰もが等しく挑戦するためには、役割と責任範囲を明確にすることが大事ではないでしょうか。
役割と職務の明文化が大事
overflow では次のように役割を分割して職務を明文化しました。
この背景として、一般的に評価制度の一環としてリーダーやマネージャーといった用語が使われていることは珍しくありませんが、どこでリーダーシップを発揮してほしいのか、なにをマネジメントしてほしいのかなどが定義されていないケースが多々あると思います。そこでoverflow ではチーム、テクノロジー、ピープル(組織)の 3 つに分けて、リーダーやマネージャーを役割として詳細化しました。
これによってエンジニア個々が自身の専門性を高めることで組織貢献を発揮しやすくなることはもちろん、リーダーシップの発揮領域を分割しているので、ポジションに対する椅子取りゲームの対策にもなっています。
リーダーシップは職位ではなく役割(ロール)
ここでポイントとなるのは、チームリード、テックリード、エンジニアリングマネージャ(以下 EM)は職位ではなく、「役割(ロール)」 として扱うことで着脱しやすくしていること。当然ながら、相応の能力が求められますが、評価や待遇には直結しません。
フレキシブルなチャレンジ機会をつくる
昨今エンジニアリングマネージャーを務めた方が IC (Individual Contributor) としてのポジションを獲得する事例があるように、マネジメントの適性を持つ人でさえ価値を創出する時期の揺り戻し、または回帰があります。
そこで大事になるのが、各々のキャリアやライフステージにおいてフレキシブルなチャレンジを可能にすること。技術職であるからこそ、フレキシブルなキャリア設計とそれに応えられる組織の制度設計が必要ではないでしょうか。
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