スパン・オブ・コントロールとは?
「自分は最大何名までマネジメントできるのだろう」と考えたことはありませんか? そして同時に「スパン・オブ・コントロール」という言葉を聞いたことがある方も少なくはないかもしれません。
「スパン・オブ・コントロール」とは日本語では「管理限界」と言い、1名のマネージャー(管理職)が同時にコントロールできるメンバー(部下)の人数を指します。もともとは軍隊組織で使われてきた言葉ですが、近年ではビジネス社会の中でも使われる言葉になっています。
マネジメントは最大何人まで?
一般的に1名のマネージャーがコントロールできるのは5〜7人までといわれています。実際にメンバーの能力開発なども含めると、特にプレーイングマネージャーなら3〜4人が限界ではないでしょうか。
組織拡大に伴って社員数が増えていけば、それにあわせてマネージャー数を増やすなどの組織変更をしていくこともできるでしょう。ただ現実問題、ベンチャー・スタートアップ企業など急成長する組織の場合、短期間で社員が増えるという特徴があり、マネージャの育成・採用が間に合いません。そうなると、1人のマネージャーへの業務負荷が一気に高まってしまいます。
スパン・オブ・コントロールを超えると何がおきる?
1on1などのMTGだけで一週間が終わる
たとえばあるマネージャーにはメンバーが10人いて、一週間に全員と1on1を30分開催するとします。そうなると週に5時間(30分✕10人)が1on1に消えてしまいます。
もちろん1on1はマネジメントを進めていく上で重要なコミュニケーション手段ではありますが、特にプレーイングマネージャーの場合なら各プロジェクト定例や急な会社のMTGにも招集されることもあるので、1週間丸々をMTGの時間になることも。そうなってしまうと、メンバー一人ひとりのFBや育成時間が手薄くなり、結果的にマネジメントが機能しなくなる危険性も出てきます。
意思決定の質が下がる
メンバー一人ひとりのミッションを管理したり、自身のミッションを同時多発的に進行していくことで、日々の脳内のスイッチングコストが膨大になっていきます。すべての事象を表面的にしか捉えることが出来なくなり、マネージャとして重要な意思決定の質が弱まってきてしまいます。
自身の業務パフォーマンス低下
プレーイングマネージャーなら、自身も手を動かして成果を出すことが求められるでしょう。だが、MTG過多でメンバーへの意思決定の質も落ち、自分の作業時間も取れなくなると、必然的に深夜や週末作業が増えていきます。
深夜作業は脳が疲れているためパフォーマンスが悪く、生産性も低くなりがちです。週末は特に家族がいる方だと時間を作るのは難しくなりますし、家族に対して後ろめたい気持ちにも。心労がさらに増していき、メリットはひとつもありません。
スパン・オブ・コントロールを適正にするには?
SL理論でメンバーごとの時間配分を見直す
SL理論(Situational Leadership Theor)とは、部下の経験値やスキルなどの習熟度や、状態に合わせてアプローチを変えるほうが効果的という理論です。
- S1:教示型・説明型リーダーシップ
- S2:説得型リーダーシップ
- S3:参加型リーダーシップ
- S4:委任型リーダーシップ
SL理論の詳細は専門サイトに任せるとして、あなたのメンバーはS1〜S4のどの部類が多いでしょうか? 一度各メンバーの名前を書き出し、どのタイプに当てはまるかをグルーピングしてみてください。「S4メンバーに対してコミュニケーション量が多かったかな」「S3メンバーをS4へとスライドできそうだ」などの気づきがあれば是非実践してみてください。
逆にS1メンバーが多いのであれば、組織体制自体を根本的に見直すなどの働きかけを組織長と相談した方がよいかもしれません。
チーム間の動きをツールを使って定量化する
「あの人は最近メンバーとうまくやっているかな?」「最近入社したあの人はチームに馴染めているだろうか?」など、メンバーの動きが気になる場合、あなたならどうしていますか? 1on1をセットしたり食事に誘ってみるなどの方法もあるでしょう。ただし、忙しいあなたにとって常に時間を使って確認することは非効率にもなりがちです。
そこでSlackできちんと他のメンバーとコミュニケーションが活発かどうかをひとつの指標としてみてはいかがでしょうか?Offers MGRならSlackコミュニケーションを可視化することができ、個人やチームの発信量(会話やスタンプ数)を把握することができます。それを定点観測しながら行動量に変化が見られてきたメンバーのみ対応していくことで、時間を効率的に使うこともできるでしょう。
正社員に限らず、業務委託(ハイスキル)を採用
社員を新規採用することは、忙しいあなたを助けるために必要なことです。ただ、正社員採用にこだわってはいませんか? 一般的に正社員採用はリードタイムが非常に長く、早くても3ヶ月は必要になってしまいます。それではあなたの忙しさを解消するには即効性がありません。
特にスタートアップ企業の大半は、副業人材を積極的に活用しています。なかには創業メンバー以外全員が副業人材であることも。ここで大事なのは、雇用形態に関係なく「できる人に任せる」ということ。転職は考えていないが副業はしていきたい、という人材登録もOffersでは増えてきているので、正社員以外の採用をぜひ検討してみてください。
Offers MGRなら副業から正社員へとシフトしてもらうためのオンボーディング機能も備えており、結果的に正社員採用の最短距離になることもあるでしょう。
権限移譲をもつ勇気
プレーイングマネージャーとしてタスクを持ちすぎていませんか?その仕事はあなた以外にもできるのではないでしょうか?ここで気をつけたいのは「自分でやったほうが早い病」です。たしかにそのような場合もあるでしょう。しかし、その積み重ねがあなたの動きを止め、結果として組織にとって迷惑になることもあるのです。
大事なのは、「任せてみる」ということ。自分で手を動かさないという決断が、組織にとって良い方向に進む場合もあるのです。
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